湘南。江ノ島から鵠沼(くげぬま)海岸、辻堂、茅ヶ崎と相模川までのエリアを主に表す。
日本のサーフィン発祥地である鵠沼海岸、加山雄三、サザンの桑田で有名な茅ヶ崎など、湘南の中心地としての役割は強い。今回のプロジェクトは、神奈川県藤沢市片瀬にある戸建分譲(2棟)のプロジェクト。
海から徒歩圏内でありながら、閑静な住宅街の最奥、北側は野原のような公園が続いていて、周りの景観があまり変わりにくい絶好の環境が揃っていた。街の名前は、早々に「こゆるぎこまち」と決めました。腰越にある小動岬(こゆるぎみさき)、その岬にある鎮守の小動神社から付けた街の名前です。小動岬は相模湾の風景を一望でき、そのいつまでも変わらぬ風景があるという雰囲気が街のコンセプトと重なり、「こゆるぎこまち」という街の名前に。
今回は、周辺の競合他社が様々な商品コンセプトで「湘南らしさ」を作り出しているのに対して、自分たちは「海の暮らし」という基本コンセプトを設定。
このエリアでは、「らしさ」っぽい商品が多い。海を意識した暮らしではあるのですが、若干違和感ある感じ。型にハマった感が強く、もっと海の暮らしを楽しむ人はラフでカッコよく自分たちでカスタムする余白がある感じの暮らしを望んでいるのではないか?と思いコンセプトを設定しました。このラフ感や特別感を出すために、「こゆるぎこまち」の設計を「ワンオフ感」を強く意識しています。「ワンオフ」というのは、「特注の」「たった1つの」という意味です。1階にLDK、2階に各寝室を配したシンプルな間取りで、限られた敷地の中でも開放感が出せるよう、リビングとエントラスホール(Site1)、あるいは階段(Site2)の空間を完全に仕切ることなく、一つながりの大空間になるよう設計。両棟ともに玄関やリビング、ダイニング等の建物と外との境界を曖昧化して、より外を意識する暮らしが出来る空間構成としています。また、積極的に北側の公園を暮らしに取り入れるように、LANDSCAPE WINDOWを設けています。
敷地は変形地でありながら、全体を整えてEhu Kaiのシーサイドにあるような裏路地のBeach houseの暮らしが出来るような空間を日本で再現し、進化させるとこのようなフォルムや景観になると想像しながら作ったものです。形を似せる街ではなく、その雰囲気や暮らし方、時間の流れが同じようになることを考えました。
商品企画とは別に、このエリアの暮らし方には独特の感覚が存在している。都心から一番近い海辺であるがゆえに一年中渋滞が慢性化すること。ゆえに、この地域における自転車保有台数も多く、海辺の渋滞エリアを颯爽と自転車で駆け抜ける地元の人が多いのも印象的な光景である。それともう一つ、マリンスポーツ等アウトドアがライフワークになっていることが多い。都心から移住するケースも多く、それだけこのエリアに暮らしの魅力があるということ。企画にあたって自転車、アウトドアの2つのキーワードも外せないポイントとなった。
建物のフォルムは、2棟を1つの邸宅と捉えデザインしています。庇やバルコニー全体のフォルムを整え、シャープに見せています。室内外は、それぞれの住戸をテラススタイルとウッドデッキスタイルとし、個性を作りながら、外部フェンスで違和感が出ない様に全体を包んでいます。
植物は、「ザ・南国」みたいな風だと「らしさ」っぽくなり恰好が悪いので、葉の形状、厚み、色、耐潮性などを考慮、組み合わせを考えて海辺と都会的な丁度中間のような植物環境を作っています。
[敷地面積]Site1=113.12㎡(34.22坪) Site2=111.14㎡(33.62坪)
[延床面積]Site1=89.22㎡(26.99坪) Site2=83.21㎡(25.17坪)
[間取]3LDK
※本プロジェクトは、完成前に完売しています。
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