月別アーカイブ: 2022年2月

小さいけど色々詰まった住宅が完成

なかなか時間がかかったこのプロジェクト。いろんな世の中の動き(材料がない)に邪魔されながらも、なんとか完成です。元々は1つの大きな屋敷で、周辺の住宅は木製サイディングなんかを貼った素敵な住宅が集まった一角の敷地。隣地に大きな樹木があるのが特徴的で、この樹木を大切に守るかのように周りの既存住宅も建って、見守っているそんな感じの街の雰囲気がこの場所。

ただこの土地、平面で見ると少し変形地で普通に分割してしまうと、車を止めにくくなるし、建物の全体感が見えなくなるし、更には共有したい風景がどちらか片方だけになってしまうという、お互いで土地の価値を下げあうそんな形状(分かります?なんとなく)。計画するにあたって、まずは建物の配置ありきで区画を検討してみることにして、大切な与条件を最優先に守り、最後にその建物を維持できるような区画ラインを決めて、2区画のボリューム、見た目、面積を調整してみました。

建物内部プランに関しては、僕らは一切かかわって無くても、なんとなく配置配棟の図面の段階で、環境計画から意図した事は察していただいて、すごく充実したプランになっているようにみえます。

暮らした感じは家族がリビングを中心にグルグルと回遊する感じ。そんな風景が見えそうなプランニング。

昨今の在宅勤務に合わせて?それとも独立のスタートアップ?SOHOみたいなスモールオフィス的なスペースは、趣味や仕事に幅広くつかえそう。小さいスペースだけど、家族との距離感、外への開放感はこじんまりというか、すごく集中できそうな空間。

外観は、以前HIRAMEKIで提案し採用された外装デザインを踏襲したもので、数年前に計画したデザインを更にグッと良くしてくれた外観デザインになっています。

外構は、建築軒先のボリュームに合わせてポーチのデザインや大きさ、段差を作り一体感ある仕上げに。ポーチから連続するデッキは、屋外混合水栓のシャワーに繋がっていて、バスルームへのアプローチを考えた計画にしています。植栽は、緑化基準が厳しいので常緑樹メインです。夏ごろには剪定しないと少しゴワゴワしてしまうかもしれない。この住宅デザインから察するに、手間暇かけて住宅を大切にするような住まい手になると予想し、少し邪魔臭くても雰囲気ある緑量感で比較的どこでも手に入る樹種をベースに構成しています。今回は外構、植栽工事共に僕らから離れたところで施工してもらい。図面をキッチリ仕上げることで、どこまで現場に顕在化させることが出来るのか?実験的なトコロもあった気がする。このようなケースは、たとえば遠隔地(関東以外)の場所で図面を提供し、ZOOM会議などでコンセプトと重要ポイントを伝え、あとはLINEなどで現地の写真や質疑などに逐一答えていくいつものスタイルで十分期待以上の成果につながっているので心配無用。

 

既存の井戸(豊富な地下水)があり、それを再利用してみました。

 

奥行にゆとりがあったので、あえての幅広ステップ。幅60センチメートルはそれだけで豊かさを感じるスケール感。プランター置いても良いと思います。

HPからご質問頂く、「図面だけ依頼することは可能か?」、「設計監理まで依頼し、施工は他社でも構わないか?」という質問にカタチで答えてみたような気がします。設計オンリーでも全然OKです。あと、「小規模だけど?いい?」、「予算少ないけど・・・」みたいなのもオールOKです。予算少ないのは限界あるんですけど、魔法使いではないので予算増やしたり、商品の質を上げたりという事は出来ないけれど、何をどうすれば不動産商品として良い面を見せられるか?残った余白は、住まい手で何とかしていく、もしくは追加で何か工事を依頼するという相乗効果もあるので、是非色々相談してください。


集合住宅を考える

今、まさに集合住宅の現場が完成に近づいています。

集合住宅の外部環境計画って、必要以上に予算をかけないという場合と逆のパターンとがあります。これは価格帯によるものと地域性によるものが多くて、だいたい??な感じが多い気がします。HIRAMEKIにおける集合住宅の外部環境計画の場合、こだわりを持ったコンセプトマンションの依頼が多く、必然的に緑量やアプローチのギミック、コンセプトを外部で表現する意匠的な側面を求められるケースがあります。今回は、敷地がそれほど広いわけでは無いのですが、建物正面やエントランス空間に豊かな緑を携えた空間を生かし、住まい手や地域に対して平等な環境性を広く展開した「エントランス(小路:こうじ)」を特徴にした環境づくりにしようと考えたものです。

 

都市型の分譲集合住宅では最小限の敷地に最大の容積を確保することが多く、エントランスから建物までの距離感や緑量感や季節感などが蔑にされることがあります。そのような従来のような開発では、集合住宅全体の価値や所有感が低く、景観の持続性や快適性など様々な課題がありました。それらを少しでも解決すれば、敷地をより有効に活用でき、様々なエキストラ空間が作れることから、美しい景観と快適で環境に優しい住まいが出来ると考えました。

 

外部環境のコンセプトは「過剰な設備を作らず、より自然でより雰囲気を感じられる街」。過剰な設備というのは「過美」にならないという事。必要以上に作り込まず、自然な緑や経年によって美しさを重ねて、風景の価値を増していくような概念に基づいて計画しています。人の価値観や趣味趣向は年齢を重ねるごとに変化していくのは当然ですが、一つだけ変わらない価値観が人には存在しますが、それが「自然や風景」を見る審美眼にあたります。子供の頃に見た風景や香りは、大人になっても受け継がれるように風景の価値を、このプロジェクトに存在させることでコンセプトを顕在化しています。

※以下、当社計画したディテールイメージです。